志賀内 泰弘

プチ紳士・プチ淑女 

ある小学校5年生の男子の話。

僕はツトムと言います。

お父さんは、僕に勉強のことはあまりうるさく言いませんが、いつも繰り返し言うことが一つだけあります。それは「ギブ・アンド・ギブだよ」というものです。

 お父さんは、「ギブ」とは英語で「与える」という意味だよ、と教えてくれました。「与えて、また、与える」・・・わかったような、わからないような。なんとなく、「困っている人に寄付をしよう」というような意味かなと、考えていました。学校の児童会で、赤い羽根の募金運動をやっていたのを見たからです。僕もお小遣いから50円を募金しました。

 その晩、お父さんに「今日、ギブ・アンド・ギブしたよ」と報告したら、「よかったね」といってくれました。そして、こう言いました。

 「ギブ・アンド・ギブは、お金だけじゃないんだよ。白い杖をついている人を見かけたら、

『お手伝いしましょうか』と声をかけるとか、公園に落ちている空き缶を拾うとか」

それを聞いて、ちょっと困ってしまいました。とてもそんな事はできない、と思ったからです。正直にそのことをお父さんに言うと、

 「もっと小さなことでもいいんだ。ほかの人に喜んでもらいたいという生き方だね。」

またまた、わかったような、わからないような。


 ある日のことです。近くのスーパーにチョコを買いに行きました。レジで並んでいると、僕の前に並んでいた怖そうなお兄さんが、「おい、ボーズ!」と見下ろして声をかけてきました。サングラスをかけ、耳には金色のピアスをしています。ドキドキしていると、

 「チョコ1個だろ、先に行けよ」

と言われました。緊張していたので、とっさに何を言われたのか、わからなかったけれど、そのお兄さんに背中を押されて順番を交代してもらったとき、なんだか嬉しくて体が熱くなりました。お兄さんのカゴは山盛りいっぱいでした。僕は小さな声で、「ありがとう」と言うのが精一杯でした。

 そのとき、わかったのです。ギブ・アンド・ギブっていうのは、「自分がしてもらったら嬉しい事」を人にもしてあげることじゃないかなって。

 難しい算数の問題が解けたときのように、なんだか心がスッとしました。


その日から、「してもらって嬉しいこと」探しを始めました。すると、びっくりするほどあったのです。

 となりの席のイチローは、僕が消しゴムを忘れたので貸してくれました。

 2階の教室の窓際でふざけて遊んでいて、ノートを下へ落としてしまったとき、下を歩いていた6年生の男子がわざわざ届けてくれました。

 その日の給食の時間のことです。前の席のアヤコがミートボールを床に落としてしまいました。

コロコロッと転がりました。僕は、たまたま持っていたポケットティッシュでつまんで拾ってあげました。服もすこし汚れたみたいだったので、「これで拭けよ」と残ったティッシュを差し出しました。べつに、アヤコのことが好きでもないし、気に入られたいわけでもありませんでした。

でも、こうしたら喜んでくれるかも、と思ったのです。


その晩、お父さんに今日あったことを話しました。

 「大人の世界ではよくギブ・アンド・テイクと言うんだけど、ギブ・アンド・ギブはず〜っと助けっぱなしなんだ。ツトムはそのアヤコって子に気に入られたいわけじゃないって言ったよな。そういう気持ちから出たおこないをギブ・アンド・ギブって言うんだよ」

 そして、そのお返しを期待しない小さな親切をする人のことを「プチ紳士」と呼ぶのだとも教えてくれました。


 もしも、世界中のみんなが、同じようにギブ・アンド・ギブしたらスゴイことになるなぁ〜と思いました。きっと、戦争なんて無くなってしまうでしょう。

 その日から毎日が楽しくなりました。

「プチ紳士」を探しているうちに、人の良い所ばかりに目がいくようになったのです。すると、

周りにいる人がみんな「いい人」に見えてくるようになりました。この発見も今晩お父さんに話そうと思っています。

     「プチ紳士を探せ!運動」 http://www.giveandgive.com





        「やまびこ会」(全国教育交流会)より抜粋しました

夏休みに入ってから、「遠泳教室」をしました。二十五mプールをぐるぐると泳ぎ、千mを目ざします。

「長い距離だから一生懸命泳いではダメ。怠けながら泳ごう。」

水泳指導が上手くない私からのアドバイスは「怠けて泳げ」だけ。

挑戦が始まりました。この前、二十五mがやっと泳げたA子ちゃんも泳いでいます。しかし、二十五mで立ちます。

また、挑戦。今度は五十m近く泳げました。でも、千mにはほど遠くあります。A子ちゃんは、何度も挑戦してます。

何度目かの挑戦で三百mほど泳げました。思わず「すごいな、A子ちゃん。」と声が出ました。


次の日の遠泳教室でA子ちゃんは千mを泳ぎました。同じように二十五mがやっとだったB君も千mを泳ぎました。

少し前まで泳げなかった子が千mを泳ぐようになる・・・子どもは、何度も挑戦して自然とコツを覚えるのでしょう。

ある時を境に泳げるようになります。子どもの力はすごいです。おとなしく、あまり表情を出さない

A子ちゃんですが、帰り際、私の方をみてニコッと微笑みました。



小学生時代から何も取り柄のない私でしたが、六年生の時、米田啓祐先生の指導で千m泳げた時の感動は忘れられません。

あれから三十五年。千mを泳ぎ切った子どもたちにこの夏、感動をもらいました。

-- (西村 徹) 2007-12-12 20:53:17




(人の目を見て話を聞く生徒)
 私のクラスには、いつも話を話し手の顔を見て聴ける生徒がいる。昨年4月に担任してからずっとその姿勢は変わらない。
初めの頃は、その姿勢の良さに感心するだけだったが、今まで変わることがない姿にすごいなと驚くばかりだ。
毎日見るその生徒の日記の文章からも、前向きな姿勢が素直に伝わってくる。
人の話をしっかり素直に聴けるからこそ、その成長の度合いも大きいことを その生徒から学ばせてもらっている。

-- (
本間正泰) 2008-02-14 20:49:07

       「やまびこ会」
http://www29.atwiki.jp/yamabikokai



 子供が買ってきた「ハッピーバースデー」という、文芸書コミック版を読んで、とても感激しました。
 思わず涙が出て、今の子供たちの環境を考えさせられました。
 
 青木和雄・吉富多美 原作   オ・スギル 画    金の星社 発行  上下2巻


 金の星社 Email usagil@kinnohoshi.co.jp



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